7/16に実施された、ふりかえり実践ワークショップに参加してきたのでその参加レポートを以下に記載します。
なぜ参加したか
これまでふりかえりを何度もやってきましたが、基本的にKPTばかりやっていて、他の方法を知りたかったからです。アジャイル・レトロスペクティブズの本もパラパラも見たことがありましたが、なんかいまいちすっと入ってこなかったというのもあり、一度体系的に学習したほうが良いのかなと思っていたところでした。

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
- 作者: Esther Derby,Diana Larsen,角征典
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2007/09/01
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会場・雰囲気・時間など
3人1テーブルで座り、真ん中に付箋やペン、飲み物・お菓子などが用意された状態でスタートしました。お菓子を自由に食べてくださいね、というアナウンスが常にあり、むやみに時間を厳しくしすぎなかったりするなど、話しやすい場づくりにかなり力を入れてました。2.5hのワークショップなのでちょっと長いかなと最初は思っていましたが、やってみてこれぐらいの時間は必要なことがわかりました。終わったら結構脳が疲れていたので、新しいことをかなり濃く学習出来たのではと思います。
やったこと
基本は以下のスライドに記載されているので、そちらをご確認ください。
以下に実際にやったことを列挙しておきます。
- ふりかえりの説明
- Good & Newを使って、自己紹介を兼ねた場作り
- DPA(Design the Partnership Alliance)を使って、この場におけるチームのグラウンドルール決め
- timelineを使って、7/13の個人の事実の洗い出し
- 学習マトリックスを使って、自分の気づきやチームの他のメンバーの気づきをシェア
- ドット投票で最も大事だと思ったことを洗い出し
- ORIDを使って、今日のワークショップに対する問いかけをして、意見を深化させる
- Small Starfishを使って、ワークショップから得られたことをアクションにする
- “温度計”を使って、感謝・気づき・改善要望などを口頭で共有する
気づき1: 場作りが一番大事
今回初対面で構成されたチームでしたが、最初からトップスピードで議論が出来ました。これは最初に記載した通り、付箋や飲食物など会場を完璧に仕上げていたことがまずポイントです。森さん曰く、振り返りの30分前に会議室を抑え、どういうふりかえりになるかを頭で可能な限り想像して、机イスの配置などを設計するとのこと。 また、強力だと思ったのがDPAを使ったグラウンドルール決めです。チームとして何か1つ合意形成をするという、チームの成果物を最初の段階で出していることは大きいなと思いました。ちなみに、自分のチームで決めたことの1つとして、お菓子を食べながらやる、ということです。エンジニアのためのデザイン思考入門にも出ていたのですが、お菓子を食べながらやるとポロポロこぼしながら話すことになるので何を語っても真実味がない、つまり議論の高尚さみたいなものが無くなり、心理的安全性を保つのに有効だからです。さらに、森さん曰く、お菓子を食べることは口を動かすということになり、副交感神経が刺激され、リラックス出来るとのこと。お菓子を食べながらの会議よい。

- 作者: 東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト,齊藤滋規,坂本啓,竹田陽子,角征典,大内孝子
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気づき2: みんなで議論するのいいね!
学習マトリックスを使ってtimelineを見ながら新しいこと、気付きを議論した際に、自分に対して、自分ではそのとき考えつかなかったポジティブなフィードバックをいただきました。付箋のわずかなメモと1分程度のエピソードの対話でこれが生まれるのは素直にすごいなと思いました。おそらく、第三者が具体的に知りすぎ無いが故に客観的な視点になり、結果、抽象化された気づきを与えるんでしょうね。やったことを口に出して、気がついたことを共有すること、特にポジティブなフィードバックは良い改善サイクルを生みそうだな、と思いました。
気づき3: ふりかえりは楽しくあるべき
普段仕事を一緒にやっているメンバーでないからこそ、KPTでいうProblem的なものは無かったのですが、チームとして改善するための今後やること、はしっかり出てきていました。思い返してみると、これまでやってきたふりかえりは反省会では無いものの、なんか重い雰囲気の課題解決の場になりがちだったなあと思いました。森さんが強調していたのは、良いことをより良くするためにはどうすれば良いんだろう、を考えるほうがチームとして大きな成果が出るということでした。課題を課題として認識しなければいけない場面ももちろんあるとは思いますが、いつもふりかえりが何となく重い雰囲気になっているのであれば、それは何か危険信号があがっていることなのかなあ、と感じました。そういう意味で、Starfish(Keep、始めること・追加すること、やめることを洗い出す手法)を振り返りに使うのはふりかえりとしてKPTより良いのかも。
最後に
このワークショップは月に1度開催されているとのことです。ファシリテーター/スクラムマスターだけでなく、ふりかえりを実際にやっていて課題感を感じている方にもおすすめです。もし機会があれば、是非一度受けてみてはいかがでしょうか?