キャリアのわがままを言える組織をつくる
この記事は、Engineering Manager Advent Calendar 2020の23日目の記事す。
組織は個人で成り立っている
これまで様々なチームや組織を見てきて、一つたどり着いた結論として、個人を無視してチームや組織を成り立たせることは不可能だということだ。 一人ひとり様々な事情を抱えてそのチームや組織に参画している。 そのプロダクトが好きで本気で良くしたいと思っている人もいれば、技術力を高めたいと思ってそのチームでの開発を足がかりにしている人もいれば、お金をもらっているので何でもやりますという人もいる。 チームに色々な人がいるのは当然なことで、目的が何であれ、何かしらの縁があってそのチームに参画している。
個人の事情を全く考えずに、チームや組織という単位で常に意思決定しているようであれば、もしかしたらものごとを単純化しすぎてしまっているかもしれない。
個人のキャリアに寄り添った組織
では、そうやって様々な事情がある人たちで構成されたチームや組織は、どうやったら最高のパフォーマンスを出すことが出来るだろうか。 その一つの答えとして、個人のキャリアの方向性をうまくつなぎ合わせられている状態を作ることではないか、と考えている。
個人のキャリアの方向性とは、既に習得しているスキルを活用して成果を出すというのもあれば、成果を出しながら伸ばしたいスキルを身につけていく、という両方の側面がある。 どちらを大事にするかは人それぞれ考えが変わるものだが、多かれ少なかれ両方の側面を持ちながら誰しも仕事をしているのだとは思う。
私は個人のキャリアの方向性を大事にする組織をつくりたいと考えている。 それが結果的に個人にとっても幸せなことだし、組織にとってもパフォーマンスが向上するものだと信じているからだ。
その人にとって理想のキャリアを歩んでいるときは、内発的モチベーションによって行動しているので、最高のパフォーマンスが出る。 もしそのチームや組織に所属している人全員が最高のパフォーマンスが出ているのだとしたら、組織にとって一番目指すべき状態が達成出来ている。
マネージャーの仕事は会社の方向性とキャリアをつなげること
そう考えると、マネージャーがする仕事とは、組織の達成したいことと個人のキャリアをつなげることなのかもしれない。 達成したい目標に対して、中間生成物をつくる仕事を定義し、効率的にその中間生成物のバトンが回っていくシステムを作り上げる。 その一つ一つのアウトプットが個人のキャリアにひもづけられるのだとしたら、そのシステムは自然とものすごいスピードで機能し、マネージャーはシステムに対して影響を与える必要性はほとんど無くなるだろう。
逆に、そのシステムの構成要素が所属している人のキャリアを考慮出来ていない場合、 そのシステムは自然と非効率になるし、不満・不安がたまり、マネージャーはそのケアに追われることになるのだろう。 つまり、マネージャーが人のケアに追われているのだとしたら、そもそもその組織活動がいる人にとって合っていないシステムを作っていると捉え直す方が良いのかもしれない。
もっとキャリアのわがままを言っていい
本当はやりたくない仕事なのにいつもやらされている、他にもっと興味のあることがある、今この場を改善できる優れた案を持っているのでやってみたい、など、働いているといろいろ思うことがあるだろう。 勇気を出してその思っていることを言ってみるのはどうだろうか。 もしかしたらその一言で何か状況が好転するかもしれない。 それによってアウトプットが良くなるのであれば組織としては御の字だし、個人にとっても幸せなことではないだろうか。
自分の人生なんだから、わがままを言っていいんですよ。