みんなが知見を公開したら、世の中がもっと幸せになるかもしれない
この記事は#セイチョウジャーニー Advent Calendar 2018の16日目の記事です。
2018年のアウトプット
ちょっと早いが、今年1年を振り返る。 カレンダーを見ながらやったことを書き出してみたのだが、今年は自分でもびっくりするぐらいアウトプットした1年だった。 社外発表としては、現在時点では以下の通り。
- ブログ記事: 9本
- 登壇: 12回
- EM.FM: 14回
- 他Podcast: 1回(しがないラジオ SP.36)
- WEB記事: 2本
- 本の執筆: 2回(セイチョウ・ジャーニー、ワンストップ見積もり)
残り半月でPodcast出演、ブログ記事投稿も控えている。
社内では、本業とは別に以下のような活動もしていた。
なぜそこまでアウトプット出来たのか? 自分や会社のプレゼンスを上げるため、というのはもちろんある。 しかし、それだけではここまで継続的にアウトプット出来ないはずだ。 というわけで、もうちょっと掘り下げてみよう。
きっかけは『エンジニアリング組織論への招待』
振り返ってみて、やはりこの本に行き着いた。 『エンジニアリング組織論への招待』、頷きすぎて首がもげそうになる、通称首もげ本*1だ。
エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
- 作者: 広木大地
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る
首もげ本を読むまで、私のマネージメント(ピープルマネージメント、チームマネージメント、プロジェクトマネージメント、組織マネージメント)のやり方に、迷いのようなものが正直あった。 自分のやり方は正しいのだろうか、そもそも考えの根本から誤っているのではないか、という不安は常につきまとっていた。 だから、自己啓発本、チームマネージメントの本、プロジェクトマネージメントの本、組織論の本を読み漁り、認定スクラムマスターの研修では講師を独占するほど質問責めをした。
首もげ本を読んでから、その不安は解消された。 なぜなら、この本に自分の行動のベースとなる考えが体系化されて記載されていたからだ。 首もげ本が私のマネージメントの行動指針が誤っていなかったことの証拠になったように感じ、なんだか認められた気分になった。
世の中が良いプロダクトで溢れかえる世界にしたい
実は私には長年"夢"が無かった。 夢は自分がなりたい存在と捉えていて、自分だけが良くなってもなあ、という感情を正直持っていた。
首もげ本が自分のやっていたことの心の支えとなったことで、私は自分の体験したこと、自分の考えをもっと発信しなければ、と考えるようになった。 そして、その行動によって、世の中が良いプロダクトで溢れかえるのであれば、それが自分の幸せだと考えられるようになった。 だから、今私の夢は、世の中が良いプロダクトで溢れかえる世界にすることだ。
認められることで社会貢献が表層化したのは、マズローの欲求5段階説から考えると捉えやすい。 マズローの欲求5段階説に依ると、
1層:生理的欲求(食欲、睡眠欲、性欲)
2層:安全欲求(安全に暮らしたい)
3層:社会的欲求(仲間と仲良くしたい)
4層:尊厳欲求(認められたい)
5層:自己実現(貢献)
と、欲求が変化していく。 3層までは置かれている環境的に既に満たされていて、4層(尊厳欲求)が1つの壁(私のマネージメントのやり方の不安)となっていたのだろう。 首もげ本が私の尊厳欲求を満たしたと捉えると、5層(自己実現)が表層化されたのは納得がいく。
2018年の2大アウトプット
同人誌『セイチョウ・ジャーニー』
booth.pm 1つ目は、『セイチョウ・ジャーニー』だ。*2 これはGrowthfactionというコミュニティから技術書典5で出した同人誌で、コミュニティメンバー5人(てぃーびーさん、VTRyoさん、KANEさん、Hideさん)の視点でセイチョウとは何かを語っている。
私は『行動のハードルを低くするジャーニー』というタイトルで、私なりのセイチョウのやり方を書いた。 セイチョウは変化によって促進され、変化は行動をしなければ起こせないと考えている。 しかし、実際に行動しようとすると、やらない理由をつけ、どうしても腰が重くなりがちだ。 そこで、これまでのマネージメントの経験をもとに、どうすれば行動のハードルを下げられるかを書いた。
技術書典では200冊刷ったのだが、おかげさまで1時間半で完売するほど、大盛況だった。 また、口コミが広がり、毎日Twitterで誰かしらがセイチョウ・ジャーニーについて、つぶやいてくださっている。 元々新年に本を書く、という目標を掲げていただけに、自分の本を出せたのは喜びもひとしおだ。
Engineering ManagerのためのPodcast EM.FM
2つ目は、このブログでも何度か登場しているEM.FMだ。 このパーソナリティーは私と、『エンジニアリング組織論への招待』の著者である広木さんだ。 私を大きく変えた本の著者と、毎週Podcastを更新しているのはなんだか不思議な感覚だ。
広木さんと議論するのは毎度、本当に学びが大きい。 EM.FMは私のEMとしての公開勉強録と言っても過言ではない。 しかも、この放送内容が他の人の新たな学びになっている、というのは本当に嬉しくてたまらない。
私のカレンダーを見返していて驚いたのだが、EM.FMをやることが決まった4日後に収録し、その2日後に公開している。 情熱があったことは間違い無いが、なぜこれだけのスピード感をもって実現出来たのだろうか。 Podcastの機材・収録・編集・構成など、その他の要因をどう乗り越えたのだろうか。
実は今年に入って、社内でPodcastを一時期やっていた。 Psychorgy.fmというタイトルで、心理カウンセラーゆきのしんさん*3と私が心理学(Psychology)×組織(Organization)を題材に語り合うPodcastだ。 全社的な組織課題をゆきのしんさんと話していたとき、私が心理的安全性を持ち出したら、それは心理学的にはこう解釈出来るよ、というやりとりが非常に面白かった。 これは自分たちだけで話すのはもったいない、全社でこの会話を聞いてもらった方が良い、と思い、勢いでPodcastをやることになった。 このPodcastをやっていたことで、収録のやり方や編集のやり方、事前に何を用意しておけば良いのかにほとんど工数をさかなくて良かった。 残念ながら、諸々の事情でそのPodcastは終わってしまったのだが、このPodcastが無ければ EM.FMはもしかしたら生まれなかったかもしれない。
最後に
冒頭にも書いたが、今年は本当にアウトプットが多い1年だった。 その結果、多くの素敵な人に出会えたし、私自身の学びにもつながった。 そして、何より私の周りが良い方向に向かっていってる感覚がある。*4
2019年も本気で情熱を注ぎたいと思えることをやり、その知見を公開して、結果的に世の中にもっと良いプロダクトが生み出されたらいいなあ。
*1:私しか言っている人を見たことがない
*2:ちなみに、『カイゼン・ジャーニー』の市谷さん・新井さんにはこのタイトルをつけることの許可をいただいている
*3:https://sewakage.com/ というサイトで独自の視点で人間とは何かを語っている
*4:これはもちろん私だけの力ではない