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日頃考えていることとか、読んだ本の感想とか

社会人学生って実際のところどうなの?

いきいきAdvent Calendar2021 25日目の記事です。

2021年は対外的な活動はほとんどしなかった。・・・というのも、EM.FMでは話したが、4月から経営学の大学院(ビジネススクール)に通い始めたからだ。しばらくは勉学に集中したいと思ったので、いくつかの登壇のオファーも断り、ひたすら社会人と学生生活を行ったり来たりしていた。

良く、仕事しながらビジネススクールに通うの大変じゃないですかー?と言われる。そのときは、いつも真顔で「まじで大変です。ギリギリです」と答えている。本記事では、昼は社会人、夜は学生として過ごすのは実際のところどうなのか書いていく。

経営に関して全くの無知だった

Engineering Manager(EM)はManagerという名前の通り、経営的な観点での意思決定は必要である。本当にお恥ずかしい話なのだが、私はEMとはなんぞやを偉そうに語ったりしていながら、実は経営についてこれっぽっちもわかっていなかった。会社でいざ経営のお仕事をさせてもらうことになったら、自分が本当に無知であることを認識した。

ピーターの法則をご存知だろうか。

・組織の中で、人は自身の能力の限界まで昇進する

・昇進した人材は高いレベルの仕事に従事することで、能力を無能化していく

・最終的には、組織全体が無能な人材集団と化してしまう *1

という恐ろしい法則で、まさに自分のことを指している言葉だと感じた。以下の本を読み、一つひとつの文章がぐさぐさ来て、読み終える頃にはぐったりしてしまった。

このままではまずい、と非常に危機感を感じ、何をすればこの状態を脱却出来るのか考えた。本で学ぶのも一つの手ではあるが、あまりにも経営の知識は広大だと感じていて、本からの学びでは到底難しいと思った。そこで、一から体系的に経営学を学ぼうとビジネススクールに行くことにした。

課題に追われる日々

4月からビジネススクールが始まった。自分の知らない内容がたくさんシラバスに書いてあって、テンション高くなって調子にのって授業をバカスカ取った。しかし、これが地獄の始まりだった。

授業は楽しいのだが、課題にひたすら追われ続けた。平日は朝6時に起きて課題をやり、仕事は18:30に終え、そこから22:00まで授業。授業が終わったら、次の授業の課題を深夜までやる。土曜日は9:00からゼミが始まり20:00まで授業。日曜日は課題の遅れを取り戻す日。課題をギリギリに仕上げたら、また授業で次の課題がやってくる。

そして、そんなこととは関係無く、仕事はいつも通りに行わなければならない。悪いタイミングは重なるもので、4つの授業の最終課題の提出と、全社発表が2週連続で入ったときは、記憶がほとんど無い。

そんな日々を3ヶ月ぐらい続けて、メンタルが本当に限界だった。でも、ちょうど夏休みに入り、束の間の社会人だけの生活に戻ることが出来たときは本当にうれしかった。土曜日はゼミがあるものの、課題に追われることは無くなった。土曜日の真っ昼間に美容室に髪を切りに行けることに幸せを感じるぐらい、幸せのしきい値は下がりまくっていた。*2

ちなみに、春夏で一回授業登録、秋冬でもう一回授業登録をするのだが、春夏に詰め込みすぎた失敗を活かし、秋冬はそこそこにしたら大分楽になった。あのペースで授業を受けていたら、ちょっと病んでいたかもしれないな・・・。

苦労しながらも得られたもの

そんな苦しい日々が続いていたが、得られるものはめちゃくちゃ大きかった。

まず、経営学の知識だ。ここ数年の中で一番成長した年なのではないかと思うぐらい、様々な経営に関する知識が身につき、考え方のフレームワークが出来つつある。様々なケースを読んだり、他の学生たちと議論を交わしていく中で、視野がものすごく広がった感覚はある。

次に、人脈だ。周りには信じられないほど優秀な人がたくさんいる。自分のレポートはクオリティがいまいちなのも理解して本当にギリギリの状態でなんとか出すことに必死だったが、同級生はみな素知らぬ顔でハイクオリティなレポートを出してきて、しかも考察が深い。世の中にはまだまだこんな優秀な人がいるのか、と驚愕だった。ありがたいことに、そういう方々と交流させていただく機会も多く、深夜まで議論したり、グダグダ話せる友人が出来たのは、今後の人生において必ずプラスになると思っている。

そして、時間の効率化だ。少ない時間で何かアウトプットしなければいけないので、効率的にアウトプットをひねり出す訓練ができた。実はこれは経営の意思決定でもとても大事なことだ。いつも情報が十分あるとは限らず、また時間もそこまでかけられるとは限らず、少ない情報の中でAなのかBなのか、意思決定をしなければいけないタイミングがある。その中で、自分がAが良いと思う根拠、Bがだめな理由を説明するのは、大事な訓練だ。

結局MBAは使えるの?使えないの?

MBAは使えないだの、今の時代に合ってないだの、様々な記事や場面で言われるが、結局は自分次第なんじゃないか、と思う。MBAを資格のように捉えるのならそれによって何か仕事が新たに出来るようになるわけではないので意味無いし、MBAで学んだことをそのまま使おうと思うのならそんな便利な予備校のようになるわけでもないし・・・

そもそも学ぶことってそんな窮屈な話ではなくて、学びたいから学ぶ、で良いのではないかな。少なくともビジネススクールに来ている方々はみんなやる気に満ち溢れてるし、自分自身も高いお金と時間をかけて行っているわけだから、学ぶことに本気になれる環境が整っている。

別にMBAに限らず、何かを本気で学ぼうと思っている人は素晴らしいと思うな。そういうチャレンジをしようとしている人に対して、みんなで応援する社会にもっとなるといいなあ。

*1:ピーターの法則とは?原因や対策方法をわかりやすく解説: https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c244

*2:そして、夏休み中に成績が返ってきて、あまりの出来の悪さに引くところまでがワンセット