自分をアップデートし続ける技術
この記事は「セイチョウ・ジャーニー」「挫折論への招待」アドベントカレンダー Advent Calendar 2019の22日目の記事です。
2019年のアウトプット
今年1年を振り返ってみる。 今年はあまりアウトプットしなかったかもなーと思っていたが、集めてみると結構色々やっていた。
- ブログ記事: 7本
- 登壇: 10回
- RSGT2019
- EMFM Meetup
- 2人のVPoE
- DevLOVE X
- Developers Summit 2019 Summer
- EOF2019
- Opening Session 私たちの現在地点、向かうべきところ。
- Podcastという組織文化戦略
- なんとなくチームを構成することから脱却する方法
- 公開収録
- DevLOVE 組織のリアル~私のチームの話をしよう~
- まだ権限明確にしていないの?
- EM.FM: 22回
- 他Podcast: 3回
- WEBインタビュー記事: 3本
- 本の執筆: 1回
昨年との一番の違いは、依頼されて出演する機会が多かったことだ。
ただ、ほとんどは過去〜今の話なので、ある種貯金を食いつぶしているという危機感はある。 常に自分をアップデートして、新しいことをやったり、(自分なりに)新しい発見をし続けるということがこれからも必要なのだろう。
では、どうすれば自分をアップデート出来るのだろうか? 以下では、数ヶ月後の自分という他人に向けたメモも兼ねて、今の私なりの自分のアップデート方法を書いていく。
自分という人間を理解する
何をするにしても、自分とはどんな人間であるかを理解しておくのがまず必要だと考えている。 ただし、自分という人間は常にアップデートし続けるということを前提に置くので、自分の理解を常にやり続けるということが必要である。
自分の好きを知る
仕事や趣味の活動などを通じて、自分の好きなことを理解しておくと、それがあるだけで癒やしになるので、言語化しておく。
ただし、好きと得意は別ものとしてとらえておく。 好きだから得意とは限らず、逆もまた然りだ。 特に、好きというだけで仕事にして得意でないことをやってしまうと、相応の努力が必要になり、最悪嫌いになってしまう可能性もある。*1
自分の得意・強みを知る
これも仕事や趣味の活動などを通じて、これが得意だ、これが強みだ、を理解しておくと、新しく何かをやるときの指針になる。
客観的な指標であれば、ストレングス・ファインダーが有名だ。
ちなみに、3年前に受けた結果がなんだか今と合っていない気がして、今年の3月にもう一度受けてみたが、やはり強みが大きく変わっていた。 どうやら強みは変化するらしい。
自分の苦手を知る
逆に苦手を知ることで、苦手を克服するために努力する、あるいはそこを避けてやらない、という手が取れる。
私の場合は、苦手を克服するという選択をする場合は、その先にどうしても達成したい目標があるときだ。 逆に自分のやりたい方向ではないことに対しては、無理に苦手を克服しない。
苦手を避けてやらないことのほうが、私の場合はほとんどだ。 苦手なことをやることより、得意なことをやることの方が価値が出るし、スキル・能力がつきやすいと考えているからだ。
自分の感情を感じる
感情の上下をするポイントを理解しておくと、反応的に意思決定をしなくて良くなるので、言語化をしておく。 例えば、どんなときに楽しいと感じるのか、どんなときに怒りを感じるのか、どんなときに悲しみを感じるのか、どんなときに恐怖を感じるのか、など。
ブッダの考えを理解すると、反応的にならないようなり、まさに悟った人になれる。
自分の考え方の癖を知る
何かを意思決定するときには、ベースになる思考の癖が必ずある。 その思考の癖は、
- 認知バイアス
- 価値観
- メンタルモデル
の3つによって形成されていると考えている。 それぞれの付き合い方がうまいと、より合理的な意思決定が出来たり、非合理的な意思決定をした自分の振り返りの材料となる。
認知バイアスについては、例えば以下のサイトが参考になる。
認知バイアス一覧で社会心理学入門〜社会科学の知の蓄積を活用した社会教育の実現に向けて〜効果、錯誤、誤り、仮説一覧〜
2019年の本だとFUCTFULLNESSが流行りましたね。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
価値観の調べ方については、以前まとめた記事がある。
チームで楽しみながら価値観を知りたいという人は、価値観ババ抜きであったり、Management3.0のMoving Motivatorsをやるという方法もある。
価値観ババ抜きとは | 価値観ババ抜き | myvaluecard
ムービング・モチベーターズ、モチベーションポーカー | ニューワークス
メンタルモデルについては、『学習する組織』の推論のはしごや、『なぜ人と組織は変われないのか』の免疫マップが参考になる。
- 作者:ピーター M センゲ
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2011/06/22
- メディア: 単行本
なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践
- 作者:ロバート・キーガン,リサ・ラスコウ・レイヒー
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2014/09/01
- メディア: Kindle版
最近だと、そのものずばりの本が出ましたね。
この本によると、人のメンタルモデルは
メンタルモデル | 痛み繰り返される不本意な現実 |
---|---|
価値なしモデル | 何か価値を出さないと自分の価値は認められない |
愛なしモデル | 自分のありのままでは愛してもらえない |
ひとりぼっちモデル | 人が去っていく、離れていく、つながりが絶たれる分離の痛み |
欠陥欠損モデル | 自分には決して埋まらない決定的な欠陥がある |
のどれかに分類されるらしい。私の場合は典型的な価値なしモデルだ。*2
他人から見える自分を知る
上記の内容を親しい人とお互いシェアすると、それについての反応がきっと返ってくるだろう。 それらが自分が思った通りであればその認識を強化すれば良いが、あなたにはこういうところもありますよ、というフィードバックは新しい自己発見につながる。
これを促すツールとして、持ち味カードは一つの手段として有効だ。
習慣的に挑戦する
自分のことを理解するためには、今何が出来るのか・何が出来ないのかの理解も重要だ。 これらの理解のためには、想像ではなく実感値として持つ必要があるため、行動で判断するのが有効である。
そこで、自分の現在地点を把握出来るようにするため、習慣的に挑戦する。 挑戦には
- 新しいことをやる
- 難しいことをやる
の2種類がある。*3
日常から新しいことをやる
新しいことに挑戦することのハードルを下げるため、日常に新しいことを取り入れる。 例えば、食べに行ったことのないレストランに入ってみる、いつもと違う経路で通勤してみる、などでも良い。
このように自然と新しいことへの挑戦をしておくことで、挑戦の恐怖を取り去り、 いざ何か本当に新しいことをやる/やらないの選択肢が出たときの練習が出来る。
ちなみに私が新しいことを挑戦したときは、その感想を何らかの形(多くは人に話す)でアウトプットするようにしている。 そうすることで、新しい挑戦に対するふりかえりを促し、良かったこと、良くなかったことの価値基準を自分の中で言語化出来るためだ。
難しい挑戦が出来る環境に身を置く
私は自分に甘い人間なので、難易度の高い挑戦を自分で設定するのは難しい。 そこで、私は難しい挑戦が出来る環境に身を置くようにしている。
難題がたくさん降ってくる場所であっても良いし、難題を一緒に考えてくれる人が近くにいるのでも良い。 クリアした結果が価値の高いものであればある程、難題のクリアしがいがあるので、自分の見えている世界だけで難題を選ばないようにしている。
常に学ぶ
私のストレングス・ファインダーに学習欲が入っているように、学習が好きな人間である。 そこで、私が意識的にやっていることを書く。
何からでも学ぼうとする
私はどんなことからでも大なり小なり学べることがあると考えている。
勉強会に出席してあまり面白く無い、と思うことも正直ある。 そのときになぜ自分が面白く無いと感じたかを自分に問いかけてみる。 すると、その面白く無いと思ったポイントに対して、自分の知識が不足していたからなのか、興味がそもそも無いことなのか、 という整理が出来て、その整理する作業そのものが自分を理解するということにつながる。
また、今その瞬間に必要でないと思った知識も、そこで学びがあったからこそ未来にそこから話が広がったという経験を何度もしている。 なので、知識は入れておくことに越したことがないというのが私の考えである。
学んだことをアウトプットする
挑戦にも共通するが、学んだことは可能な限りアウトプットするように努めている。
例えば、WEB記事を読み、その中から1行でも学びのあったところを引っ張り出し、そこに対しての自分の考えを述べるなどしている。*4 そうすることで、他の人の文章が自分の文章になる感覚があり、自分の学習になると考えている。
ここについてはアウトプットすればする程自分に返ってくるので、来年もっと意識して無意識に出来るレベルまでなるように取り組みたい。
学んだことに固執せずに学び直す
学んだことは時間をかけたり、命を削って得たものだったりするので、どうしても大事なものとして固執してしまう自分がいる。
『失敗の本質』にも、学習を軽視し、自己否定学習(unlearning)が出来ていなかったことが、第二次世界大戦で日本軍が負けた理由の1つである、と分析している。 自分の学んだことは一面的であり、多面的な評価をした場合はそれが全てではない、ということを肝に銘じておく。
ポジティブな感情もネガティブな感情もうまく付き合う
ポジティブ心理学によると、ポジティブな感情は認識しづらく、ネガティブな感情の方が残りやすい、といったネガティブバイアスがかかりやすいとされている。*5 つまり、無意識のうちに、好きや楽しいより、嫌いや辛いに注目しすぎている。
面白い実験動画を紹介しよう。 白いTシャツを着ている人が何回パスをしたのかカウントしてみて欲しい。
この実験動画から、人は知覚する情報を取捨選択しているということがわかる。 つまり、普段から知覚する情報を好きや楽しいなどのポジティブな物事に意識を向けるだけで、幸せな人生になれるということを意味している。
私の場合、なんでもポジティブなところを見るように普段から訓練しているので、ネガティブな感情に自分が支配されることは滅多にない。*6
アップデートは終わらない
結局のところ、自分のアップデートに終わりはない。 過去の自分をそのときに最適な選択肢を取った結果の自分として受け入れ、未来に向けてより自分が自分らしく、そして自分の才能が花開くように希望を持って生きていきたい。