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日頃考えていることとか、読んだ本の感想とか

Engineering Manager Meetupに参加してきた

9/25に開催されたEngineering Manager Meetup#1に参加してきたので、レポートを書く。 connpass.com

尚、本ブログでは自分に直接的に関係したところのみ記載する。他にもたくさんのレポートがあるので、そちらもご参考いただきたい。

note.mu dskst9.hatenablog.com ohbarye.hatenablog.jp

エンジニア ✕ マネージメントについて

最近、エンジニアリングマネージャー関連の勉強会が増えてきていて、エンジニア✕マネージメントは熱い分野だ。 エンジニアリングマネージャーが必要とされるようになった表向きな理由としては2つあり、

  1. エンジニアの規模が拡大してきているが、人数の割に力を出し切れていない
  2. エンジニアの採用がうまくいっておらず、いる人をより輝かせることに注力し始めている

ではないかと思う。

マネージャーが必要とされる動きは、世の中が良い方向に向かっている兆候だ。Googleも、マネージャーの存在を否定しようとしたら、逆に必要だという結果が10年前に出た。一方日本は、SI・外注の文化が強かったがために、エンジニア*1の人権解放運動的なものに何十年も費やしたように思う。なので、やっと、日本もマネージャーの重要性に気がついたか、という感覚がある*2

では、エンジニアリング界隈でマネージャーの重要性に気がついた今、どうなったのか。マネージャーは楽しんでやれているのだろうか?

マネージメントに興味がある人がいるのは割と少数で、どちらかというと、マネージメントに興味はないんだけれど仕方なくやっている人がいる、必要なのでやっている、という後ろ向きの理由の方が多いように思える。これは、前述のエンジニアの人権解放運動の後遺症もあるし、マネージメントの勉強をやっていないのでやり方が良くわからないというのもあるし、人間相手だから複雑すぎて難易度が高いというのもあるし、そもそも周りに経験者がいないので誰も教えられない、と様々な理由によるものだ。

一方、私はマネージメントに興味がある勢だ。今いる会社で様々な経験もした。小さなチームのリーダーもやったし、大きなチームのプロジェクトマネージメントもやったし、エンジニア組織のマネージメントもやった。それらをなんとか出来たのは、相談にのってもらえるいろいろな方々が周囲にいたからだ。こういう環境にいれたのは本当に幸運だった。

だから、過去の自分にそうしてもらったように、周囲のマネージメントで困っている人を助けたい。そして、その組織に適切なマネージメントを行い、素晴らしいプロダクトなりサービスを生み出す助力をしたい。そう本気で思っている。

なぜ勉強会に参加したか

上記のように考えていたとき、Twitterのタイムラインに本勉強会の情報が流れ込んできた。良くある勉強会は、誰かが前で喋って、その後懇親会があって、という形式だ。一方、本勉強会はOSTを使って、参加者が気になっているテーマについて、参加者同士で語ろうというものだった。OSTとはOpen Space Technologyの略で、これに関する本も出ているのでこちらもご参考いただきたい。

勉強会に参加するのならアウトプットすることが一番学習になると考えていて、正直インプットするだけの勉強会はあまり身にならないと感じている*3。一方、今回採用されているOSTの形式は、インプットする立場もアウトプットする立場になれる。自分の気になる話題が出来るし、他の人の困っていることも議論出来る。そう考えたため、今回参加することを決めた。

会場・参加者

会場提供はアスクルさん。めちゃくちゃキレイで、おしゃれなオフィスだった。当日は雨が降っていたが、雨に濡れずに行けるのも良い。

参加者は全部で35人。エンジニアリングマネージャー・VP of Engineering(VPoE)9割、エンジニアリングマネージャーに興味持っている人1割といったところか。

勉強会で話したこと

テーマ1. エンジニアリングマネージャーのキャリアパス

エンジニアリングマネージャーってそもそも何するの、から始まり、VPoEの仕事、エンジニアリングマネージャーのスキルセットなどについて話した。

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印象的だったのは、エンジニアリングマネージャーをやり続けたら何になるのか、不安を持っているという話。そのときは時間があまりなくて話さなかったが、この不安の根源の1つとして、エンジニアリングマネージャーの業務を行う上で、どこに行っても通用するポータブルスキルとして身についている実感が無いことなのではないだろうか。

エンジニアとしてプログラムをしていたり、インフラの構築をしているときは、目に見えるスキルがついている感覚は確かに大きい。一方、エンジニアリングマネージャー業務は、1on1だったり、エンジニアの評価だったり、エンジニアの採用だったり、と対人の業務が増えて、ポータブルスキルが見についていかない感覚があるのではないかと思う。確かにこれらの業務をただ漠然と行っているのであれば、正直この不安を拭うのは難しいとは思う。実際に私もこれらの業務にただ追われている状態のときは、スキルとして身についているのか不安で仕方が無かった。

エンジニアリングマネージャーがポータブルスキルを持つための一つのコツは、何がボトルネックになっているのかを具体化しながら理解して、可能な限り課題を抽象化することだ。『エンジニアリング組織論への招待』の著者である広木さんも来ていたが、ボトルネックを探すことはエンジニアリングそのものである、と言っていて、正にその通りだと思う。

もちろん、組織のあり方が会社によって異なるので、どこがボトルネックになるかも会社によって異なる。だからこそ、エンジニアリングマネージャーは大小様々な課題に立ち向かいながら、課題を抽象化して、自分なりの引き出しを作っていくことが重要なのだ。

テーマ2. エンジニアリングマネージャーの魅力について

これは私がその場で提案したテーマだ。

エンジニアリングマネージャが必要とされている昨今、どこの企業も採用に苦しんでいるのではないか、と感じた。だからこそ、エンジニアリングマネージャーという役割を魅力づけした方が良いし、エンジニアリングマネージャーになっている人のやる気をアップさせる必要がある。そう思って、このテーマを出した。

15人ぐらいがこのテーマに興味がある状態になり、チームを2つ作ることに。 自分のチームには広木さんやこまど(id:ky_yk_d)さんもいて、議論が白熱した。

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なぜエンジニアリングマネージャーをやる人がいないのか、という理由に、"今やっている人がつまらなそうだからではないか"、というのが面白い観点だと思った。つまらなそう、というのはつまり、エンジニアリングマネージャーが何をやるのか良く理解していない・されていない、ということだ。だから、"エンジニアリングマネージャーが人間じゃない"ように思われたり、"雑務/雑用をする人"なようなイメージがあったりするのではないだろうか。

だからこそ、我々エンジニアリングマネージャーは、自分たちが何をやっているのか、何に苦労しているのか、何にモチベーションを感じているのかを広く伝える活動が必要である。

エンジニアリングマネージャー = 大変そう

ではなく、

エンジニアリングマネージャー = (エンジニアリング出来なくて)可愛そう

でもなく、

エンジニアリングマネージャー = 最高にクール

という見られ方をされるようにしないと、この職に未来はない。

エンジニアリングマネージャーについて語るPodcast始めました

広木さんもエンジニアリングマネージャーを最高にクールな職であることを伝えたい、という同じ思いを持っていて、Podcastやろうかな、とボソッと言った。私はその言葉を聞き逃さなかった。勉強会が終わってすぐに広木さんに、一緒にPodcastをやりませんか、と声をかけた。広木さんと一緒なら、エンジニアリングマネージャーの魅力を語り尽くせる自信があった。

そんなわけで決まったのが、EM.FMだ。

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第一回目は、エンジニアリングマネージャーの魅力について、二人で語った。

おしゃれなバーで語り合うイメージのBGMを流し、ライブ感を大事にするためにほぼノーカットにした。ゆくゆくはゲストも呼んで、オープンな場で一緒に悩みたい。あくまでエンジニアリングマネージャーの生の声を届け続けようと思う。

エンジニアリングマネージャーの道は続く

組織の数だけ、チームの数だけ、エンジニアリングマネージャーは悩み続ける。同じような悩みを持っている人は世界のどこかに必ずいる。だから、一人で悩まないで、より良くなるためにはどうすればいいか、みんなで考えよう

組織が良くなり、最高のプロダクトが生み出され続ける世の中になるといいな。

*1:ここではソフトウェアエンジニアのこと

*2:偉そうに書いているが、自分はマネージャー業務を3年前から開始した

*3:だからといって、インプットするだけの勉強会が無駄だとは思わないし、まして参加しないわけでもない